「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力
新しい市場を開拓する上で最も大切な事。
いわゆる顧客志向であるが、
本書籍においては、
特に面白かったのが、「醤油」である。キッコーマンが醤油を海外で販売している。あくまで現地の人に合わせた形で販売する。アメリカでは肉に合う醤油にした。この事で家庭の半分には醤油があるようだ。商品名はテリヤキだ。
フランスでは、ごはんにかけるスクレソースとしても販売している。要は日本の醤油を押しつけるのではなく、現地に合わせたローカライズをして現地の食文化の中に入り込んでいる。もちろん日本人に向けてではないので、こんなの醤油じゃない!と日本人は思ってしまうが、キッコーマンはそんな事を考えずに現地にしっかりと根付く事が出来ている。
しかしながら、中国やアジアでは醤油に近い調味料が元々ある事から、まだポジションが作れていない。 食文化を浸透させるというのは、現地の文化にも大きく左右されるのだなと面白く感じた次第。
日本の本来の伝統的な醤油は存在するが、果たして利用するユーザに求められているのだろうか。これは偽物ですといっても、今の食文化に合わない調味料であれば、いくらあっても無駄である。
実際に普段から使ってもらうのであれば、今の人向けにしっかりローカライズする事が大切である。伝統を意識するのであれば、昔の食品とのコラボといった、伝統芸で勝負するしかないのではないだろうか。
マルちゃんはメキシコで動詞にまでなる程の大人気になったようですが、気になる人は本を読んでください。
思えば孫さんのタイムマシン経営も同様だ。アメリカとのジョイントベンチャーで日本で多くのサービスを開始したが、どれも日本にローカライズされ成功しているビジネスが多い。(ヤフーやイー・トレード、私が働いているインズウェブもそうだ。) 日本は昔から欧米の文化や技術といった物を取り入れるのがとてもうまい。しかし、逆に海外へ出すのは苦手である。どうしても日本そのものを押しつけてしまいがちだ。
個人的には、インターネットでビジネスをしていると、どうしてもリアルで生きている人を知る事が出来なくなる。ユーザはこう思っているに違いない、こうあるべきだという考えが根底に出来てしまう。
ユーザビリティと言うが、果たして本当に利用者の為なのだろうか。一部の人には申し訳無いが、常に実験してより高く遷移するような状況をしっかりと作り上げていく事が大切なのではないだろうか。 それとも実際に使っているユーザに会うべきなのだろうか。
この本からいかに実際に触れる人の文化や考えを知り、生かす事が大切かについて考えさせられた。 新規ビジネスではやはり実地を知る事が大切だと痛感した次第。 ちなみに本書の後半はローカリゼーションマップを作るビジネス書になります。