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会社分析

トレンダーズの目論見書が面白い

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トレンダーズが上場しました。

今更ながら目論見書を読みましたが、色々な意味で凄いですね。
サイバーエージェントの子会社だったイメージが強かったのですが、よく上場出来たと思います。

凄い点まとめ
①厚生労働省の医療機関ホームページガイドラインを守ってない?
②景表法大丈夫?
③サイバーエージェントが凄い

①厚生労働省の医療機関ホームページガイドラインを守ってない?

まずトレンダーズが提供している「キレナビ」は美容内科とかのクリニックを扱っています。若返り、ニキビ、しわ、たるみ、美白、シミ、毛穴、等々の美容系ですね。
これは医療法における医療機関に該当します。
目論見書P16に事業系統図があり、クリニックからの収入について記載がある。トレンダーズはシステム利用料とクーポンの代金を受け取っているようだ。

医療機関が広告を行う上において、広告を出稿する側である広告主や広告代理店と、広告を掲載する側の媒体側やメディアレップは下記事項について守る必要があります。
そう、媒体側も守る必要があるという極めて範囲が広いのです。

■厚生労働省 医療広告ガイドラインに関するQ&A(事例集)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/kokokukisei/qa.html
■厚生労働省 医療広告ガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/kokokukisei/dl/shishin.pdf
■厚生労働省 医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002kr43-att/2r9852000002kr5t.pdf

一応目論見書P25にも法的規制について記載がある。残念ながら、この主張は問題ありすぎる。
「病院・診療所等のホームページは、医療広告ガイドラインで、広告には該当しないとされています。」
これしか書いてない。本当にガイドラインを読んだのか?

厚生労働省の厚生労働省 医療広告ガイドラインの第2条1項に広告の定義がある。下記全てにあてはまれば広告となる。
1.患者の受信等を誘引する意図があること(誘因性)
2.医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
3.一般人が認知できる状態にあること(認知性)
これだけ見ても、トレンダーズのサイトは広告と判断されるだろう。

又、同じく第2条2項において要約すると、
ア 「これは広告ではありません。」「これは記事であって、患者を誘引するものではありません」と言い訳を書いても、病院名等が書いてある
イ 病院名が無くても、電話番号や住所から特定可能
ウ 治療法等を紹介する書籍や冊子であっても、特定の病院名が書いてある、電話番号がある、HPの記載がある等で、一般人が病院等を認知出来るといった場合や、○○研究会に問い合わせをという形も、あっせんされるとかであれば広告の対象となる。
厚生労働省は、消費者庁よりも曖昧を許さないと思うのは私だけだろうか。

そして第3項。
医療に関する広告については、直接的に表現しているものだけではなく、当該情報を全体でみた場合に、暗示的や間接的に医療に関する広告であると一般人が認識し得るものも含まれる。とある。事例として、病院、イラストがある物は対象となる。ドメインのURL自体からも連想されるものも対象例として記載されているので、厚生労働省はかなり本気である事が分かる。

第4条1項に、医療に関する広告規制の対象者という項目があり、規制の対象者は医療関係者にだけ限っていないとしっかり明言されている。2項に、広告媒体との関係も明示されており、違反があれば広告主と共に指導の対象になると明言されている。(媒体だから関係が無いというのは通用しない。

第6条3項に体験談、手記等についての記載がり、お金を貰って書いている記事については、全て広告で規制対象になる旨が記載されている。

そして問題の第7項。ここにインターネット上のホームページについての記載があるが、インターネット上の病院等のホームページは原則として広告とは見なさないとある。理由として、「URLを入力したり」「検索サイトで検索」等で見に来ている形であり、情報提供や広報としての扱いである事が大前提である。※リスティングは広告に該当。

トレンダーズの現サイトを見る限り、とてもホームページと言うのも問題があるような。
集客に力を入れている事は一目瞭然である。
そもそもホームページというのであれば、副作用についての説明等々も必須。

ちなみにトレンダーズの法的規制の中には出てこなかったが、厚生労働省から医療機関のホームページガイドラインというのも出てきており、第4条2項にランキング禁止が書かれている。日本一とか、最高とか、他の機関よりも優良であるかのような表記は禁止となっている。それが事実であってもだ。芸能人が来ましたとか、そういうのもNGであると記載がされている。
又、他の条項においては、医療機関にとって便益を与える体験談の強調(ピックアップ等の取捨選択自体も含まれる)も禁止されている。他にもキャンペーンや、○%OFF。価格を二重線で消して安くしている表記等も禁止されている。

というわけで、相当真っ黒な形になりそう。(どこをどう見ても問題だらけ。
ランキングもあるし、施術内容についてどうなるかまで明確に書いてある。ましてや体験談まであるし、病院名付きの取材までしている。
これは別にトレンダーズだけでなく、こういった医療系のグルーポン系はやばそうですね。
厚生労働省の平成24年9月28日のリリースを見ても、

「厚生労働省としては、医療機関においては、営利を目的として、ホームページにより国民・患者を不当に誘引することを厳に慎み、国民・患者保護の観点も踏まえ、ホームページに掲載されている内容を国民・患者が適切に理解し、治療等を選択できるよう、客観的で正確な情報提供が行われるべきであると考えています。」

とあります。トレンダーズのサイトがホームページであろうが、広告であろうが、どちらでもダメですね。
そしてこういった医療系の問題はラパルレを思い出します。
ちなみにラパルレは勧誘方法に問題があって、東京都から行政処分を食らって店舗を大規模閉店して潰れました。
色々と見たけど、これ大丈夫かというのがサイト上にちらほら。サクッと刺される前に、この事業は辞めた方がいい。

②景表法大丈夫?

ついで景表法について。先の目論見書の中で、景表法の問題にならないように行動すると書かれている。

彼等のメインは企業からお金を貰って、それを原資にブロガー等に記事を書いてもらい話題を作る事。
この商品いい!このサービスいい!という風潮をうまく作るのだ!

消費者庁 インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項 h24/5/9
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/120509premiums_1.pdf

消費者庁から出ている口コミマーケティングについてのコメントを見ると、ブログも口コミサイトの一つであると明言されている。(P4)
有名芸能人等の一般人に影響がある人については当然ながら対象の範囲内になる。景表法においては、単純な口コミについては対象外だが、下記が問題になると書かれている。
「商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該「口コミ」情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる。」
つまり、嘘や他の物と比べるような優位的な表現は禁止されている。事例として、
「広告主が、(ブログ事業者を通じて)ブロガーに広告主が供給する商品・サービスを宣伝するブログ記事を執筆するように依頼し、依頼を受けたブロガーをして、十分な根拠がないにもかかわらず、「△□、ついにゲットしました~。しみ、そばかすを予防して、ぷるぷるお肌になっちゃいます!気になる方はコチラ」と表示させること。」
とある。
では、トレンダーズではどうだろうか。
ちょっと見つけたがこの記事。
http://ameblo.jp/anna-nagata/entry-11032886540.html
やっぱ曖昧な表現にして逃げてますね。
一部断定してるので、引っかかるなら引っ掛かりそうですが。
http://www.kirei-c.com/a3-clinic
ここからリンクしているので、お金貰ってそうですね。ちなみに医療関係でお金を貰って書いているのであればアウト。(景表法はOKだけど、医療機関ホームページガイドラインに引っかかる。)この記事ヤバイんじゃないかな。

ちなみに広告メニュー。
http://www.trenders.co.jp/pkg/cam.pdf
大手広告代理店が好みそうなメニュープランに仕上がってますね。
ブロガーにお金を払って書いてもらう事自体は景表法では問題無い。しかしながら誤認や間違いはNG。書かせた会社に責任が問われるという事を果たしてクライアントは認識しているのかな。何か問題あったら一気にやばそう。
スタートアップベンチャーなら失う物何も無いだろうけど、さすがに上場したのであればそろそろ目を付けられる前になんとかした方がいいね。

③サイバーエージェントが凄い

トレンダーズは彼等の言うソーシャルメディアマーケティング事業が本業であり、売上の99.4%を占めている。(目論見書P21)なので、キレナビに力を入れるのはかなり危険である。わずか少しの売上にこれだけリスクをかける意味が果たしてあるのか。
ちなみに目論見書P98に売掛金の相手先一覧がある。
電通、森永製菓、DAC、CCI、フラウディア・コミュニケーションズ、その他
その他が凄く多いので、取引先の分散はしっかり出来ていると言える。
(サイバーが大手にいないけど。)

ちなみに買掛金は、自社会員、イード、S-PAL、楽天リサーチ、アイスタイルとなっており、S-PALはDM等の発送なのでリサーチ会社等に何か投げてるな。
イードは謎だけど、システム委託とかそんな感じかな。
とりあえず、そんなに広告コストがかからない業界というのが印象。

事業内容としては、目論見書のP13のソーシャルメディアマーケティング事業の説明があり、マスコミ4媒体に比べて効果的に情報共有・拡散が出来るとある。中でも、OL,ママ,経営者といった女性、字氏やサービス会員を「womedia会員」としており、約62000人の内46000人がアクティブとして存在しているという。
この会員に対して顧客企業の新商品・サービス等の体験機会を提供し、ソーシャルメディア等での情報発信・拡散の支援等のマーケティングサービスを実施する。中でも、
・ソーシャルメディアプロモーション
・イベントプロモーション
・メディアイベントプロモーション
・Amaze
・Webニュースサービス
・キニナルモン
を提供している。
どれが一番売上として大きいかは分からないが、女性に対してのマーケティングノウハウがあるという点については非常に大きな強みである。
だけれども、要はそのままでは売れない商品を無理やり売れるように仕向ける事なので、昨今は景表法等の問題が毎年何かあるので、ちょっとリスクあるなーという感じ。
どちらかというと、業界的にはベクトル等のPR会社に近い感触。

ちなみに株価は現在8,000円くらい。目論見書P103にあるように、サイバーエージェントやSBI、りそなキャピタル、資生堂が資本を入れていたみたいだけど、一旦サイバーエージェントが安値で平成22年5月末に1株10万円でSBIやりそな等から購入(1株は分割によって現在の300株分)。2275株なので2億円2千750万円。
そしてその株をサイバーエージェントが2倍の20万円で平成23年9月末に売却。買ったのはリクルートのVCやトレンダーズの経営者層。この際にサイバーエージェントは自分が始めから持っている分も売却しているが、たった1年ちょいの投資だけで株価2倍というのは凄いと一瞬思ったが、上場についた株価は7,000円。(10/23は7,980円)
つまり、売らずにいれば当時の株価で210万円でしたと。サイバーも結果的には最後まで株は持っていたので、上場に向けてのVCとしての戦略ですね。親子上場の問題もあるし、実に見事です。そしてこの会社にいればストックオプションだけで億行く見込みの人が何人もいますね。
こんな高値がついた会社をSBIは何故売ってしまったのか。もったいないなー。でもこの会社かなりのリスクがあるのは先の通り。ロックアップ期間の半年逃げ切れるかな。契約次第だけど、これだけ株価上がってるからもう売れるのかもしれないし。

何はともあれ、サイバーエージェントのベンチャー企業に対しての投資というのは非常にうまいなという印象が個人的にある。
サイバーエージェント・ベンチャーズはどちらかというとエンジェル投資家に近いイメージがあるのだけど、サイバーエージェント本体は非常にうまくVCやっているなという印象。

しかし、法的規制部分こんなんでいいんだな。ガイドラインとか主幹事の証券会社含めて誰もチェックしないのか。FOIは完全粉飾だけど、この会社大丈夫です!っていうチェックは誰もしないのか。 
まあ、大手媒体が医療関連や美容についてかなり広告の掲載の取扱を止めている中で、リスクを取って頑張っている媒体であるのは間違い無い。
どこまで厚生労働省から許されるか分からないけど、頑張って欲しいものだ。
でも、ドロップシッピングに次いで来年どこかこういった医療広告系がしょっぴかれるのではないかと個人的には思います。 
厚生労働省からかなり何度もこうやってガイドラインを通して警告は出ているので、 何もしなければ来ると思います。

あ、大学院のレポートとして書けるくらいの量になりました。5500文字。コピーしちゃダメですよ。

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