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子育て

3年間抱っこし放題政策から保育の問題を考える(子育てシリーズ6回目)

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安倍首相の「成長戦略スピーチ」の中で「3年間抱っこし放題での職場復帰支援」という点がある。メディアの中には、これに否定的な意見もあれば、賛成の意見もある。

安倍首相の「成長戦略スピーチ」

スピーチ自体はここから確認する事が出来る。
成長戦略の3つのキーワードの1つである「挑戦:チャレンジ」の中に

優秀な人材には、どんどん活躍してもらう社会をつくる。そのことが、社会全体の生産性を押し上げます。
現在、最も活かしきれていない人材とは何か。それは、「女性」です。

とある。『優秀な人材』という点がキーワードですね。そして最も活かせていないのが女性であると。
当然ながら男性にも女性にも優秀な人材がいる。その優秀な人材に男女関係無く活躍してもらう社会を作る。
この事が必要であると。

そして問題の「待機児童解消加速化プラン」

私は、待機児童の早期解消に向けて、このいわば「横浜方式」を全国に横展開していきたいと考えています。

と述べている事から、認可外保育園を増やす事で解決しようと試みている事が分かる。果たして国の基準以下の無認可保育園を増やして解決しました!なんて言うのはどうかとは思うが。無認可保育園の幼児死亡率は認可保育園の20倍もあるのは事実である。認可保育園をどんどん増やすべきだろうと思う。

これまで国の支援対象ではなかった認可外保育施設についても、将来の認可を目指すことを前提に、力強く支援します。

認可外保育園が認可保育園になるのは設備面でとても大変である。認可保育園の基準が下がってしまうのかが気になる所である。

平成25・26年度の二年間で、20万人分の保育の受け皿を整備します。さらに、保育ニーズのピークを迎える平成29年度までに、40万人分の保育の受け皿を確保して、「待機児童ゼロ」を目指します。

つまり子供が増えるのは平成29年まで続くと。ピークが明確に見えている事から、そこまでなんか出来れば後はどうとでもなる戦略なのかもしれない。

そして「3年間抱っこし放題での職場復帰支援」だが、

妊娠・出産を機に退職した方に、その理由を調査すると、「仕事との両立がむずかしい」ことよりも、「家事や育児に専念するため自発的にやめた」という人が、実は一番多いのです。

そりゃそうだ。先の保育園の問題もそうだが、保育園に安心して預ける事が出来ないのだから。
認可外保育園が認可保育園の20倍の死亡率という数字は前回出したが、それだけ認可保育園に預ける事に躊躇する人が多いのだろう。

「女性が働き続けられる社会」を目指すのであれば、男性の子育て参加が重要なことは当然のこととして、こうしたニーズにも応えていかねばなりません。3歳になるまでは男女が共に子育てに専念でき、その後に、しっかりと職場に復帰できるよう保証することです。

3歳になるまで子育てに専念させる事はとても大切であると思う。ただ、この3歳には根拠があると考えられる。

3歳児以降の保育コストと、3歳未満の保育コストの違い

保育園においては、子供の年齢に応じて保育士を割り当てる必要がある。

保育士1人辺りの人数の基準
0歳 3人
1~2歳 6人
3歳 20人
4歳以上 30人

基準はこのような形である。
当然ながら保育園は朝の7時半~夜までである事から保育士は2交代制である。休む人もいる事からある程度余裕を持つ必要である事から、計算(保育士のコストは福利厚生含めて25万円/月人と計算)すると下記のようになる。

子供年齢 子供の人数 必要保育士数 コスト 1人辺りコスト
0歳 3人 2.5人 62.5万円 20.8万円
1~2歳 6人 2.5人 62.5万円 10.4万円
3歳 20人 2.5人 62.5万円 3.1万円
4歳以上 30人 2.5人 62.5万円 2.1万円

つまり、0歳から子供預ける人1人に対してほぼ1人の保育士が必要になり、子供1人につき20.8万円も人件費だけでかかる計算だ。1/2歳であれば、おおよそ1人に対して0.42人の保育士が必要になり、子供1人につき10.4万円。3歳であれば、0.125人で済む上に、3.1万円のコストで済む。

果たして0歳児の子供を持つ母親1人が社会に復帰する為に、保育士1人が必要というのは費用対効果面ではどうなのだろうか。安易に0歳から子供を預ける事になるが、実はそれだけ保育にはコストがかかっている。もちろん優秀な社会人が復帰するのであれば、費用対効果に見合うのだろうが全員が全員優秀なわけではない。1-2歳でもおおよそ母親2人に対して保育士1人が必要なのだ。それだけ子供が小さいうちは手間暇がかかり、しっかりと常に目をかけなければいけいない。

3歳以降になると子供の面倒を見る保育士をそこまで手配する必要も無くなる。

保育士の現状

保育士とは「都道府県知事の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを職とする者」を指す。
当然ながら試験や学校を卒業した際に取得出来る資格保有者となり、誰でも出来るわけではない。

問題はこの保育士の待遇が非常に悪いという事だ。保育士は当然人間であり、立派な人達だ。この人達を雇うためには当然ながらコストがかかる。しかし現実には、子供が0歳で保育園に預けている人1人に対して1人を雇う必要がある。認可保育園は税金が投入されているが、一般的な無認可保育園では人件費は、保護者が払うお金で充当される。

保護者は当然働いているが、そう年収が高い事はまれだ。よく言われているのは、収入の多くが保育園代に消えるという話があるが、0歳児の子供1人で1人保育士を雇う必要があるためだ。ではどれだけ保育士の待遇が悪いかというと、求人を見ると大体月収が18万円~とかが相場のようだ。更に休みもある程度不規則になり、そして最も大変なのは昇給はほぼ望めないという現実だ。

当然ながら保育士としても生活がかかっており、一生を無認可保育園でやっていけるかというと非常に厳しい。離職率も当然高くなり、より待遇の良い認可保育園や企業の託児施設、その他の業界へと転職していく事になる。

安倍首相の成長戦略の中でも保育士については話があった。

保育士も確保しなければなりません。
保育士の資格を持つ人は、全国で113万人。しかし、実際に勤務している方は、38万人ぐらいしかいません。7割近い方々が、結婚や出産などを機に、第一線から退き、その後戻ってきていません。
保育士の処遇改善に取り組むことで、復帰を促してまいります。

求人がこれだけあって有資格者が働かないのは、待遇が悪いからである。いくら世の中の為になる仕事であっても、給与が低すぎると誰も働こうとはしない。保育士の現在のポジションはその程度のものなのだ。安部首相の話では、保育士は保育士のままでいる事が前提のような話し方だが、本当にそうだろうか。

厚生労働省に調査結果があった。

潜在保育士の約7 割が子育てをしている、もしくは子育てがひと段落した人たちである。そして、その中の多数は保育士以外の仕事についている。

「1.アンケート調査結果 1)保育士たちの姿 ②保育園で就労するにあたっての不安要素」の自由記入では、若い人で給与面の不満が出ている。それはそうだ。保育士は立派な資格だが、これだけ給与等で報われない職種も珍しい。

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当然ながら、子供は人が見る事が必要であって、それは今は保育士である。保育士の待遇改善は当然必要だが、それには税金投入が不可欠である。保護者が保育士の待遇改善まで負担するとなると、保護者の収入では賄えなくなる。この辺りの解決が必要になってくる。

3年間抱っこし放題の為に

政府の言う3年間抱っこし放題というのは、先に述べた子供1人辺りの保育士の必要人数や、保育士の待遇改善も視野に入っているのであろう。当然子供が3歳以上であれば、保育士の数はそこまではいらない。つまり、保育園の維持コストを下げる事が出来、税金も少なく出来る。保育士の待遇改善に繋がる。しかし、企業の育児休暇は1年あれば良い方であるのが現状である。この点が保育にかかるコストが増大している要因である。

子供が0歳や1歳においては、保育にかかるコストは増大する。多くの場合復職する女性が貰う給料以上に税金、もしくは保育にかかるお金が投入されている。これは経済的には非効率になる。であれば、元々3年間育児休暇にしてしまう事で経済的な無駄をやめ、必要以上に保育士を増やす必要の無い施策を取る事が合理的である。3年間抱っこし放題という言い方は問題があるのかもしれないが、要は保育のコストの効率化を求めているのであろうと思う。

これはとても理にかなっていると思う。企業がどう思うかは知らないが。
どこかのニュースとかでは育児休暇3年は長すぎるとか色々出てたりするが、労働者としての自分自身が果たしてどこまで会社や国に貢献出来ているかも自問すべきであろう。自分が子供を預ける事で保育士の雇用も発生するが、同時に多額の税金が投入されている現実を認識すべきである。

まとめ

結果的に何か結論が出ているわけではないが、無認可保育園はリスクが高い。幼児死亡率も認可保育園の20倍もあるというのは、大きな問題でありそう簡単に解決出来る問題では無い。そして保育士の質についても、無認可と認可の保育園では雲泥の差がある。考える上においては、認可保育園の中でも良い所へ子供を入れたい。だが、そんな事は現在の国の方針においては不可能である事も分かる。誰が犠牲になるかというと、親では無く結果的には全て子供に行ってしまう。親としては何故そんなリスクの高い事をしなければならないのかと考えてしまう。

ではどうすべきか。男が頑張って働いて子供を幼稚園に通わせられるような収入を稼ぐ事に繋がる。男にとって家族とは全身に背負うものである。自分の人生は自分のものだけではないのだ。子供の将来を考えどう決断するか。しっかり考える必要があるだろう。

自分も結婚し、子供が生まれた事で背負っている重さを感じる。重い。責任も重大である。だからこそ考え行動する事で家族にとってより良い状況を創りたいと思う。

子育てシリーズは好評だったので、適度に続けてまいります。

■子育てシリーズ

1.保育園と幼稚園の違い(子育てシリーズ1回目)
2.保活!! 保育園(認可)への入れ方(子育てシリーズ2回目)
3.認可外保育園は認可保育園の20倍の死亡率?認可保育園と認可外保育園(無認可保育園)の違い(子育てシリーズ3回目)
4.何故起きた待機児童問題(子育てシリーズ4回目)
5.ビジネスとしての保育園を考える(子育てシリーズ5回目)
6.3年間抱っこし放題政策から保育の問題を考える(子育てシリーズ6回目)

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