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書籍紹介(文庫)

永遠の0から現代の歴史の教育を考える

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永遠の0を読んだ。eien

いくつか心に残るフレーズもあるが、総じて戦争体験を追体験するような風に思える。今まであまり戦争について知識があまり無い人には良い本ではないだろうか。

特に特攻というものがどうして起きたのか。
そもそも特攻とは何だったのか。こういった面をしっかりと考えさせられる。

海外では、カミカゼという言葉が生まれるくらい自己犠牲での国家や他人への忠誠というのは奇異に映るらしい。アフガンの自爆テロもそうだが、個人主義の欧米諸国からするととても奇妙なのだ。

そして日本が何故負けたのか。何がいけなかったのか。
そういった面を色々と考えさせられるキッカケとなる。

零戦に対しても酷評しているが、航続距離の長さが搭乗員にとって不幸であるがような描写がある。
まあ、零戦は重戦闘機と戦う為に生まれた戦闘機では無く、護衛を主とした戦闘機として要望されて設計された機体であるから仕方ないのだが、想定されていなかった用途にも積極的に活用された事が不幸になっている。

さて、この本では日本の軍隊についていたずらに兵を失うだけの無能集団であると描写されている。しかし、太平洋戦争の当初の拡大は無能集団ではとても出来ない。知略を尽くして少しでも勝つ為に努力をしていた。この事が触れられていないのはとても残念な事だ。日本のとても強い面が書かれていないと、単に精神的に凄かったんだで終わってしまう。

実際には日本の軍隊、司令部はとても優秀であった。
日露戦争もそうだが、真珠湾攻撃、マレー上陸戦、どれも周到に準備された戦いにはことごとく勝利している。日本軍は戦前の準備は非常にうまいのだ。課題を与えられば、それに合わせた答えと共に行動力まである。

しかし、少しでも状況が変化してしまうとそれに合わせた対応を取る事が非常に苦手である。教訓としては日本人としての長所と短所を知る事が出来る。

この小説の残念な点はフィクションであるという点だ。ある程度調べた上での精密な描写が多いが、残念ながら吉村昭のノンフィクションの小説を読んでいると物足りなさを覚える。
吉村氏を超える史実作家はもう現れないと思うが、もしこういった歴史の史実に興味があるのであれば、吉村氏の小説を読む事をお勧めする。

吉村氏の小説である、「大本営が震えた日」は日本の開戦に向けていかに軍部が血の滲むような努力をしていたかが分かる。これは恐ろしい事に存命であった人に取材の上書かれているので史実であるという事だ。他にも「戦艦武蔵」や「零式戦闘機」といった史実の小説を書いている。

特に「零式戦闘機」を読むと零戦がいかに苦心のすえ生み出され、その成功に翻弄されて次の為の努力が出来なかった点を痛感する。せっかく工場で飛行機を作っても、飛行場まで持っていくのに牛や馬で終戦までずっと運んでましたとか、一体何の冗談だよと思うかもしれないような描写がある。恐ろしい事に、これは取材を通して全て事実であるという事だ。1つの兵器を通して戦争の全体的姿を見せる本は他に見られない。
永遠の0も良い本ではあるが、より戦争の事について知りたいと思った際には、吉村氏の本を手に取る事をお勧めする。

しかし、1つだけ言えるのは、「太平洋戦争は勝算も無く、少数の人が引き起こした戦争」であるという事だ。

さて、そもそもとして日本では太平洋戦争といった現代について学校では教育がされていない。社会化の教科書には載っているが、教科書の末尾の方であり大抵の場合にはそこまで授業が辿り着かない。
昔中学生を相手にした塾の講師をしていたが、その際に日本は第二次世界大戦でどの国を相手に戦ったかという質問をした事があるが、ドイツとかいう答えが普通に出てきたのには衝撃を受けた。
それだけ若い人には無関心な事柄なのだろう。教育というのは非常に大切であり、近代から現代こそ学ぶべきであると思う。縄文時代とか平安時代とかまだ歴史解釈が定まっていない物を学んでも仕方が無い。

永遠の0はこの戦争について考えるキッカケになるのであればそれで良いと思うが、是非吉村昭氏の小説も手に取って欲しい。

個人的には零式戦闘機の零の読み方は「ゼロ」では無く、「レイ」の方が正しい。

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