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書籍紹介(経営者)

未来の市場を創り出す「サービスが先、利益は後」がめざすことを読んで

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未来の市場を創り出す ― 「サービスが先、利益は後」がめざすこと(日経ビジネス経営教室) を読んだ。mirai

宅急便という個別配達市場を創出したクロネコヤマト、ヤマト運輸の経営のお話である。本の初めは宅急便のサービスを開始した小倉昌男氏の官僚との戦いの一幕から始まる。

さて、この本は今のヤマトホールディングスの社長である木川眞氏の本である。残念ながら宅急便を創出した小倉昌男氏の書かれた本では無いので、創業の想いという点は学ぶ事が出来ない。あくまでヤマトホールディングスの戦略が語られている。又、ヤマトホールディングスは創業者一族である小倉 康嗣氏については一言も触れられていない。語りたくない闇もあるのだろうが、今のヤマトホールディングスの宅急便のサービスは利用者からの圧倒的な支持のもと成り立っている。

しかしながら、大きく成功した会社というのは内部対立等が活発になる。宅急便のサービスを大きく育てた小倉昌男氏が亡くなった後のヤマトホールディングスの迷走は大きな社会的注目を集めた。創業者一族支持派と反創業者一族支持派の戦いは5年にも及び、創業者一族の海外追放で片付いた。創業者といえども、株式資本をしっかりと持っていないと、会社から追い出されるという良い事例になるだろう。会社を立ち上げても、しっかりと株式を持っていないと会社から追い出される。一族に引き継ぐ事も出来ない。(小倉昌男氏は財団に寄付してしまったらしい。)

会社は誰の物かというと資本家の物であって、社員はその会社に属しているにすぎない。株式資本を分割をどんどんしていくというのはそれだけ大きなリスクを背負う事になる。ヤマトホールディングスを追い出された御曹司である小倉 康嗣氏は海外のMBAの取得の留学に出たというニュースから、その後ヤマト運輸の米国法人の社長に就任しちえるようだ。

さて、完全に本の中身からは逸れてしまったが、この本はヤマト運輸が過去積み重ねてきたストーリのみを語る本ではない。いかにしてサービスを認知させ市場を創出していったかの話である。ヤマト運輸は利益至上主義では無い。あくまでサービスによって新たなニーズを掘り起こして顧客の満足度を土台に新たな市場を創出するというビジネスである。

宅急便は当時誰も面倒なので行なっていなかった、個人宅間の小口配達であり数を集める事で市場規模を拡大した。結果、一般人が物をネットで買う事やネットオークション等々の個人の通販市場の拡大にも繋がっている。中にはゴルフ場へのゴルフクラブの配達や、スキー板の配達などあったらいいなと思うニーズをうまく吸い出し、それをサービスとして提供し、そのサービスがあるからこそ使う人を増やす事に成功している。

単なる宅配ビジネスでは無い。新たな市場自体をも作り出しブランドイメージから利用者のロイヤリティーはとても高い。非常に考えられ、顧客の満足度が高いサービスへと向上している。

昨今ではビル内部の宅配業務の一括受注であったり、リコール対応の一括受注であったり、顧客企業からこんなサービスあったらいいなという点をうまく突いている。又、東京名古屋大阪の間の即日配達サービス等、新たな挑戦も当然に行っている。まさに大企業でありながら常に革新的な行動を取るイノベーターである。

さて、今まではヤマト運輸の良い点を述べてきたが、ヤマト運輸といった配達屋に任せる事のデメリットについても考えておこう。
特に近場の顧客へ配送を考えている場合、こういった配送業者へ委託する事は避けた方が無難だ。たしかにアウトソースは出来るが、実際に利用者と接する機会を失う事になる。小さな店舗では宅配に人を回せない事もありえるだろうが、顧客が何を考えているのかを知る上においては、人づてでは無く直接ヒアリングするのが一番だ。マーケティングもそうだが、顧客の話を聞くというのはとても大切だ。出来ればアンケートでは無く直接お客様から話を聞く事が良い。会話の中から新たな問題点を含む発見がある。

最近ネットスーパーの進出が多いが、彼等は必ず自前で行なっている。利用者が何度も使う事が分かっている以上、顧客と接する事はとても大切だ。単にアウトソースをする事を考えるのではなく、顧客と接する事の大事さを考えてみるべきだ。これはコールセンターのアウトソースでも同様の事だ。本気で顧客満足度改善を狙うのであれば、顧客と接する機会の場を他社は渡してはいけない。日本の会社なのにコスト削減の為に中国にコールセンターを置いて中国人に相手をさせるとか、顧客の事を単なるお金持ってる人としか思ってないんだろうなと思う。こういったお金では見えない部分の価値というのもしっかりと考えるべきであろう。地方の会社の通販はまあ仕方ないが、近くの家へ配達する会社はアウトソースで全てを片付けてしまうという事のデメリットをしっかりと認識すべきであろう。

こんな事を考えさせられた一冊だった。

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