Google,Amazon、Facebook、Twitter、現在のインターネットで成功している企業の多くはビッグデータの分析から成功しているように見受けられる。というのも、彼らは直接顧客と対話をして今のビジネスを成功させているわけではない。むしろ、ユーザが多数集まり活動する環境を作り上げ、新たなサービスをうまく提供している。そして、うまくユーザに使われなければすぐその機能は撤退している。
これはリーンスタートアップとも通じる所があるが、顧客との対話の方法が直接的対話だけでなく、多数の人の行動履歴からもユーザの行動が読みとれるようになった事が大きい。そして、何より未来を推測できるまでのデータを集める事が出来るようになった事だ。推測と書くと何でも見通せそうに見えてしまうが、要は統計である。今まで単に貯めていて何にも使われなかったデータや、購買履歴、アクセス履歴、経路といった一見何気ないデータが複数組み合わされる事でプレミアムデータとなる。これがビッグデータの面白く、素晴らしい点だ。
さて、本書であるがビッグデータについて何なのか、どのように使われているのか、日本ではどうなのか?といった疑問を解決してくれる良書である。しかしながら、技術的な部分も含まれているので、インターネットの仕組み(ハードウェア、ソフトウェア含む)自体についてあまり知らない人には第2章は読むのは厳しいかもしれない。
又、本書の最後に触れられているデータサイエンティストについては、まさにその通りである。統計学だけでなく、統計学に用いるプログラムが書け、そして分析出来る人。こういった人材は今後求められるであろう。ただ、こういった人が日本の新卒として入社するかどうかはありえないとも思うので、日本の企業はより積極的な人材獲得が必要になるだろう。
最後に本書はインターネット上のプライバシーについても触れられている。cookieのプライバシーをどのように考えるべきなのかも含めて考えなければならないが、教科書的な存在としても良書である。
ビッグデータの衝撃 巨大なデータが戦略を決める 城田真琴
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