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書籍紹介(新書)

『ずっと安月給の人の思考法』の思考法を読んで~成果をただ上げても給与は増えない現実を知ろう~

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book『ずっと安月給の人の思考法』を読んだ。
読書時間わずか30分未満。短い。正直内容の量は薄いですが、何も考えずに働いている人にはとても重要な事がいくつか書かれています。
給与が上がらないとか、不満に思っている人は買って読む事をオススメします。

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給与の仕組み

成果を上げた=給料が上がる」ではない。自身の労働者としての価値がどれだけあるかにつきる。
「労働力の価値」=「労働の再生産コスト」(食事、住居、知識・経験の学習費用等々)±付加価値

労働力の価値は自分が会社に対してどのような労働力の価値を提供しているのかによって決まる。
そして、その自分の労働力の価値は自分から他の人に替えようと思った場合どれだけ会社はお金や労力を払わないといけないのかによって変わる。
この部分が労働者の付加価値であろう。(簡単に変えられるなら-評価。変えにくい人なら+評価。)

これは自分が考える評価と、会社や外部から考えられる評価とは異なる。
つまり、常に替えが効くような価値しか会社に提供していないのであれば労働力の価値は低いという事になる。

例としては、工場や事務で単純労働をしているのであれば労働力の価値は低くなり、世の中から求められている専門職であれば高くなるという事だ。
そして専門職であっても専門職の人が増えると需給の関係から労働力の価値は下がる。

昨今では弁護士や公認会計士が良い例であり、単に弁護士や公認会計士になるだけでは高い給料を貰う事が出来なくなった。
今後は更にIT化が進む事によって、医者の診断等についても全て機械が行うようになっていく。そうなるとどんどん労働力の価値が低くなっていき、給料が下がっていく事になる。

世帯所得の相対度数分布
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(出典:厚生労働省 国民生活基礎調査)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa11/dl/03.pdf)(http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0906/h0628-9g.html)

給料が年々下がっていて、これは不況のせいとかそんなの無くて「給料の低下圧力」がある為である。

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http://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/research/pdf/2525.pdf

この労働分配率を見ても日本の企業は利益を人件費にしっかりと割り振っているかが分かる。決して企業だけが儲かっているという事は無いのが現状だ。
であれば、賃金は景気が回復したからといってすぐ上がるかというとそれはどうかなと思う所である。

給料の低下圧力

そもそもの「給料の低下圧力」は技術革新や、社会構造の変化が要因であり、工業化時代に熟練工が機械に駆逐された状況が今の日本でも起きているのが現状である。
事務職を見ても、PCでの表計算ソフト等で事務員の育成コストは大幅に低下した。もはや紙幣を数えるスピードや、書類の整理等に付加価値は無くなっており、機械がある程度こなしてしまようになった。

又、食費や住居費といった費用もデフレの影響下で下がっている。企業からすると労働者を安く雇えるのであれば、無駄なお金は払いたくない。
食費や住居費といった費用が安くなっている以上、その部分が安くても良い人を採用する。そして賃上げの必要も無くなる。
そして共働きしてるなら、給料安くてもいいよねーとなりかねないのが怖い所。(若い人はもうなってる。)

共働きの弊害

この本では語られていなかったが、労働人口の減少が叫ばれている中、失業率が上がっているsitugyou
特に若年層の失業率は高い傾向にある。そして給料が右肩下がりで下がっている。
単純労働者の需要が減っている事も背景にあるが、仕事がそもそも減っているのではないか。

そして先の給与の決定方法からも、共働きをしても裕福にはなれない世界になりつつある。

世界的には女性も働いているから働こう!じゃなくて、女性も働かないと暮らしていけない!

というのが世界の流れ。ユーロ圏では失業率は10%超えだ。
働けるだけありがたい状況の中なので、どうしても賃金が安くなる。
本当の意味でスキルやキャリアを考えて働いている人は前からいたのであって、ただ生活の為に働かないといけなくなってしまった女性が日本でも多いのではないだろうか。

先の給与の決定方法からも、働く上においては自分の価値を上げる努力をしないと給与は上がらない形になってしまった。
共働き夫婦が増えた事で、男性が育児や家庭の中により関与する事になった。この結果新たな技能を身に付ける事を怠るようになり、男性の労働者としての価値は全体的には低下し、給与は更に上がらなくなる。
この事を理解して生きていかないと、一生安月給のまま終わる。親の世代の年功序列と今とでは社会の仕組みが変わりつつあり、給与が自然に上がるなんて事はもう無いのだ。

そして女性の社会進出を政府が強く後押ししている要因はもう一つある。
『納税者』を増やしたいのだ。

女性も社会で働く割合増加=労働者の増加=納税者の増加

女性がもっと社会で働きましょうと政府が推奨するのはこういう事なのかと。ただ、共働きによって男性労働者の労働者としての価値が上がらなくなると、賃金の上昇は無くなる。
結果、二人合わせても大した収入にならず支出だけが増えて生活だけが苦しいという状況になりかねないので、考え物だ。
海外の共働き家庭では食事は常に外食、育児はベビーシッターに頼む等無駄なコストが非常にかかっている。
共働きになる事で支出が増大しすぎると、何の為の共働きなのかを今一度考える必要があるのではないか。

本を読んだキッカケ

この本を読んだのは、日経ビジネスの紹介記事を読んだからなのだが、正直この日経ビジネスの記事読めば結構な内容を把握出来る。
本の丸コピーだし。しかし、どうすればよいかという点は本にしか今の所書いていない。
なので、この本は読んだ方が良い。
ただ、1年かけて書いた渾身の1作とかあったけど、この文字量や内容で1年?この価格かよと思ってしまったので1年もかけたというのは書かない方がいい。
著者のブログを見ても、今の出版業界の構造から1冊1冊の本にそこまで力をかけないような趣旨が書かれている。

切り口を多数分けて、たくさんの本を出してどれかヒットを狙う。作家もそう変わったと。
実際に本を購入する側からすると、くだらない本に当った際の不満は高い。
さっさと全て電子書籍化して、売れた分だけ適正に作家に分配されるようになれば質が高い本が世の中に出回るのになと思った次第。

まとめ

まとめとしては、よく属人化が悪のように社内ではなってるけど、労働者の価値を守るのであればこれは正しい事なんだなと思った。
(推奨しているわけじゃないですよ。)

会社にいかに自分の労働者としての価値を認めさせるか。そしてその価値は客観的に本当に価値がある事なのか。
正しい意味での属人化は正しい。自分にしか出来ない仕事が出来る能力を身に付けないといけない。
皆と同じ能力しか無いというのは無価値である事を改めて考えた。

人が働く上において休養等が必要とか、立教大学の授業の原論Aを思い出させる内容であった。
立教大学の原論Aの授業はもうこの本でいいと思うよ。うん。

ただ、正直既に考えて実践している身としては、そこまで新しい発見は無かったなという印象の本だったが、皆がこれを実戦して行動している会社になれば発展があるのだろうと思う。

 

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