成功を決める「順序」の経営 ―勝つためには戦略の順番を間違えるな (日経ビジネス経営教室) を読んだ。
マクドナルドの原田社長のインタビューとその戦略の解説というような形の本である。日系ビジネスの中で勧められていたので購入したのだが、マクドナルドがいかにして低価格戦略から脱却して新たな舵取りを行えるようになったのかについて知る事が出来る。
さて、マクドナルドは日本では1971年に藤田商店がアメリカのマクドナルド社のライセンスに基いて銀座に出店した事から始まる。特に1990年代からの低価格戦略が2000年頭頃には完全に行き詰まる。この頃のブランドイメージを持つ人はマクドナルド=デフレの代名詞 のようなイメージが高い。
今回の本は、原田社長が社長に就いた2005年からどのようにしてマクドナルドが戦略を変えて、既存店舗の売上高が8年連続前年増を成し遂げたかが語られている本である。
さて、マクドナルドの直近のイメージは、私は「迷走」と思っていた。何故迷走としたかというと、トップの考える事に対して実際の店舗のスタッフが付いていけていないと考えたからだ。
特に顕著だったのが、60秒ルール。注文を受けてから60秒で商品を出さないといけない。出せなければ次回に使える無料券を差し上げる形になる。トップとしては別に60秒でできなくてもという意識だったようだが、現場はそうはならなかった。そして粗悪な商品が客に提供された。他にもメニュー表の廃止等々があり、原田社長の神通力の陰りなのかどうか。
数年前までは確かにマクドナルドは低価格商品から少し高い商品へと変わった。以前はバリューパックで500円あれば食べられるイメージであったが、現在では600円以上出さないと満足に食べる事が出来なくなっている。数年マクドナルドに行っていない自分からすると浦島太郎状態だが、大分方針が変わったんだなと考えていた。他にもコーヒーが美味しくなっていた(※あくまで以前より美味しいだけ)りとか、新しい店舗は比較的上品な作りになっていたりとか色々と工夫されていると思っていた。
そして自分では気がついていなかったのだが、マクドナルドの戦略としては、QSCを上げる事をまず実施したらしい。原田社長の方針として、土台を組み立ててから次の施策を執り行う。つまり、飲食店の基本であるQSCをしっかりと出来ないのであれば売上を上げる事が出来ないと。
Qはクオリティー(質の良い)
Sはサービス(良いサービス)
Cはクレンリネス(清潔さ)
先の迷走と私は感じていた点については、このQのクオリティーを下げてしまったので、以前の方針と合致しないのではないかという思いであった。又、特にCの清潔さについては、昔よりもたしかに良くなったんだろうけどどうなのだろうか。たしかに以前のマクドナルドはまあ安いんだから多少汚くてもいいやという点もあったが、現在ではそういう事はなるべく無いようにしているらしい。(でも汚い郊外店舗はまだいっぱいあるような・・・・。)
しかし、数字的には間違い無くこのQSCにまず力を入れた事でV字回復の土台になっている。
原田社長が次に手を打ったのは100円メニュー。ワンコインで食べられるという一部商品の以前の低価格戦略の復活である。この結果客単価は下がり売上が一時的に下がったが、来店回数が増えて結果的には売上増に繋がった。
と、色々とマクドナルドの戦略と結果どうだったのかという点について色々と知る事も出来て面白い本であった。ただ、直近の失敗につて是非語って欲しかったなー
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「今の時代、誰もが同じ情報を同じコストと同じスピードで手に入れる事ができる。真剣に商売をしているということではみんな同じだ。こうした状況で他社との違いをtyくろうとしても、組み合わせだけではほとんど可能性がない。ところが、そこに時間軸を入れて順序を考えればより攻め手のバリエーションが拡がる。一見同じ駒しか持ち合わせていなくても、違いをつくる可能性が拡がる。」